秋川リサ

写真のプリントが上がりシノヤマは白い封筒に入ったその写真をそっと私に渡してくれた。「スゲーいいぞ」とも言った。 太陽やヒマワリの様に丸くて明るいわたしの顔、健康で何一つ悩みのない女と思われるのがいつもシャクだった。 そこにはわたしが一度も見たことのないわたしが写っていた。一言で言って大人の女、色っぽい、それでいて18才の溌剌としたピンとはった肌と乳房、窓から入る横の光で煙草を吸っているわたしなんか、まるで飾り窓の女。嬉しかった。 その後写真はわたしの引出しの中にしまわれ。。。 そして39年たったある日シノヤマから電話がかかってきた。 「あの写真、発表したいんだけど」 正直わたしはちょっと戸惑った。。。 そしてずっと約束を守ってくれたシノヤマをイイヤツだと思った。だって本当に約束を守るカメラマンもいるんだなとはじめて思ったんだもの。